
ステーキのイメージとしては現代では「ごちそう」「ステーキハウスに行って食べるもの」などでしょう。少し庶民的なレベルから、少し背伸びをしたところに位置する料理のような感覚を多くの人がもっているでしょう。今回は人類がステーキと共に歩んできた歴史や、ステーキ特有の世界を紹介していきます。
ステーキの歴史と現在
まずは、ステーキの歴史について簡単におさらいしておきましょう。
ステーキの歴史
紀元前2万年前に描かれたとされるラスコーの壁画に、牛を狩っている様子の絵が見つかっています。そのころから人は、牛肉を食べていたとされています。先史時代になるとできるだけ長くもたせるために、火を通した牛肉が食べられていました。まさにこのような時代にはステーキが食べられていたのです。
中世以降ヨーロッパで肉料理が発展していきました。しかしステーキの焼き加減について細かく規定されていったのは19世紀以降と、意外と最近の話です。
一方日本では、牛肉を食べる習慣が奈良時代で止まってしまいました。当時決められた「肉食禁止令」が要因となっています。結果江戸時代ではごく一部の人が滋養強壮の薬として口にしていたくらいで、広く民衆が食べるようになったのは明治時代以降です。しかし明治時代すらステーキというよりも牛肉を薄切りにしたものを、タレに入れて煮込んだ「すき焼き」が流行しました。
今私たちがステーキと言っているものを食べ始めたのは、戦後アメリカの占領下にあった沖縄においてでした。現在もとくに那覇市内にはステーキ店が数多くあり、観光客が食べに行く様子が見られます。そこからやがて全国に広まりました。
ステーキの現在と周辺の話題
ステーキが日本に広まって間もなくのころは、ステーキのことを「ビフテキ」と呼んでいたようです。実はこの英語の「ビーフステーキ」の略だと思われているでしょう。しかし本当はフランス語のビフテック(bifteck)が、語源のようです。今だと「ビフテキ」と言う人はあまりいないかもしれません。
現在では各地に多くのステーキ店が存在しており、しかもリーズナブルなものもあります。家族で食べに行く感覚の店や食べ放題の店も多く存在します。ちなみに2021年1月の統計では、ハンバーグ・ステーキ店は日本に1,521軒あり、これは洋食部門でカレー店に次ぐ順位となっているのです。
ステーキの焼き加減
ステーキの肉に火を通す加減には、さまざまな種類が存在します。好みや肉の種類によっても変わってくるものです。ただ一般的によく耳にするのは「レア」「ミディアム」「ウェルダン」の3種類ではないでしょうか。しかし実際はさらに細分化されており、食文化の細やかさが感じられます。以下ではさらに存在するステーキの火加減について、解説をしていきましょう。
焼き加減10種類
ステーキの焼き加減には、以下のように細かく分けると10種類ものバリエーションがあります。それぞれの名前と特徴を簡単にご紹介しましょう。
- ロー:まったく火を通さない状態の肉で、ほぼ生肉
- ブルー:ほんの少しだけ(数秒間)焼いたもの
- ブルーレア:ブルーよりも火を通したもの(数十秒)、中はほぼ焼けていない状態
- レア:肉の表面部分には火も通っているが、中は生の状態となる焼き加減
- ミディアムレア:レアとミディアムの中間的な焼き方、肉の中はほんのり温かくなって肉の半分くらいが赤いまま
- ミディアム:火が程よく通った状態、肉の中は赤みがやや残りうっすらとピンク色になった状態
- ミディアムウェル:ミディアムとウェルの中間の焼き方、生の赤い部分はほぼ見られない
- ウェル:ウェルダンよりも火が通っていない状態
- ウェルダン:肉の中までよく火が通ったような焼き加減、赤っぽさを残さず焼いて肉質がやや硬くなっている
- ベリーウェルダン:ウェルダンよりもさらに焼いた状態、中には汁気がまったくなくなっている状態
焼き加減の目安について
これらを踏まえて、有名な4つの焼き方の加減は以下の通りです。
◯レアの焼き方
- 表面の焼き(強火)30秒
- 弱火での加熱 1分
- 裏返して強火で加熱 30秒
- 弱火で加熱 1分
- 余熱 なし
◯ミディアムレアの焼き方
- 表面の焼き(強火)1分
- 弱火での加熱 1分
- 裏返して強火で加熱 30秒
- 弱火で加熱 1分半~2分
- 余熱 アルミホイルに包み2~3分
◯ミディアムの焼き方
- 表面の焼き(強火)1分
- 弱火での加熱 2分
- 裏返して強火で加熱 30秒
- 弱火で加熱 2~3分
- 余熱 アルミホイルに包み2~3分
◯ウェルダンの焼き方
- 表面の焼き(強火)1分
- 弱火での加熱 2分
- 裏返して強火で加熱 30秒
- 弱火で加熱 3~5分
- 余熱 アルミホイルに包み3~5分
ステーキをよりおいしく焼く秘訣
ここからは、ステーキをよりおいしく焼くための秘訣について詳しくご紹介していきます。
肉は常温に戻しておく
冷蔵庫に入れていた肉が冷たいと、調理の時に加熱に時間がかかったり、肉への熱の伝わり方が悪かったりしてうまく焼けません。焼く30分~1時間前には、冷蔵庫から出しておきます。
筋切りをする
肉を加熱すると肉が縮むので、変形をして火が通りにくい形に変わってしまうことがあります。それを防ぐために焼く前に細かい切れ目を入れたり、フォークで細かく刺したりして繊維を短く切っておきましょう。
強火→弱火→余熱で
表面は強火でしっかりと焼きます。その後中にも熱を通すのには弱火がおすすめです。また火を止めた後でも肉への加熱は続いていきます。火を止めた後はアルミホイルで包み、急激な熱の通りを和らげるのがコツです。
まとめ
ステーキはより深く楽しむために、実に細やかな焼き方が確立された料理だとご理解いただけたでしょう。細心の注意と手間が込められたステーキはおいしく、それを大いに楽しめるものであります。またこれは個人の好みによるところも多いので、さまざまな焼き加減を楽しむのも楽しみのひとつといえるでしょう。
和牛ビストロ「三国家」では、そのようなこだわりの質の肉に加え細心の焼き加減で、上質のお料理を提供いたします。ぜひとも一度、ご賞味くださいませ。